我が家に伝わる心霊教訓③

自ら命を絶ったその日から、加代が住職の妻の枕元に立っている。
そう聞いた祖母と親族はあまりにも衝撃的な話で言葉が出てきませんでした。

 

とても辛そうな顔をしながら必死に訴える加代に、住職の妻は誰に何を返して欲しいのかを問います。
問われた加代は、こう答えたそうです。

 

その名前を聞いた祖母の親族が、一斉に住職の妻と反対の方向をぐるりと見ました。

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そう声を掛けられたのは、祖母の妹の美津でした。

 

加代にとって義理の妹である美津。明るく楽しい人柄ではありますが、貸し借りの面でルーズなところがある事を祖母も他の兄妹も知っていました。

 

親族全員の視線を受けた美津は、気まずそうな表情をしながらも何を持って行ったのかあまりよく覚えていないと言います。

 

 

住職の妻も何を取られたのかまでは聞き取れなかったそうですが「とにかく毎晩枕元に立たれて困っている。今も加代の叫び声に似た耳鳴りがする。加代が美津の背丈や特徴まで事細かく伝えてきたお陰で、ここに立ってすぐ誰が美津なのかわかってしまった。これはよほどの念い(おもい)がある。早くしないと怨霊になりかねない。実家から持って行った可能性がある物をここに持ってきてくれ」と懇願された美津は、うろ覚えの中実家から持ってきた覚えのある物達をいくつも自宅から運んできました。

 

住職が丁寧にお経を上げ、加代を宥めます。

 

すると妻の耳鳴りは少しずつ小さくなり、お経を上げ終わる頃には収まったそうです。
連日立たれていた枕元にも、この日を機にぱたりと来なくなりました。

一体加代がそうまでして、返して欲しかったものとは何だったでしょうか?
なぜ住職ではなく、住職の妻に訴えたのでしょう?

 

続きます。

 

※あらかじめ言っておきます。実話ゆえ、あまりすっきりした結末ではありません。
小説のように綺麗なオチにはなりません。ご了承くださいませ。




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